「ハーモニー」
今年は新型コロナウィルスによって今までの社会の在り方や常識が良くも悪くも大きく変わらざるをえなくなった。人間社会というものは、自分達の力では抗えない大きな出来事が起こると有無をいわずに変化していく流動的なものなんだと、こういう事態になってはじめて身をもって感じている。
戦時中の人達の談話で、戦後世の中の常識が180度かわってしまい何もかも信じられなくなった、、という話をよく耳にする、今も似たような状況でしかも日本だけではなく世界全体がその渦中にいる。
今の世界を予見したかのような日本のSF小説がある。伊藤計劃「ハーモニー」
伊藤計劃「ハーモニー」
21世紀後半、"大災禍"と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する"ユートピア"。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
著者の伊藤計劃氏はこの作品を執筆後に病のため他界。伊藤氏がこの時代に生きていたら、一体どんな小説を書いていたのだろう。こんな時だからもう一度読み返してみようかな、、、。ディストピアの世界でちょっと怖いけど。漫画や劇場アニメ版もあります。